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2021.3.22
宇宙航空技術利活用研究会

航空機電動化の最新開発動向と実用化への課題セミナーを開催しました

航空機電動化の最新開発動向と実用化への課題セミナーを開催しました。

米ボーイング社による航空機墜落事故や新型コロナウイルス感染症拡大によるエアラインの運航停止など、航空業界は過去例を見ないほどの打撃を受けており、何とか状況を打開しようと、次世代技術である「電動化」や「無人航空機」に活路を見出すため、参加者にとっては最新情報の入手や現状把握を目的に、事務局としても次年度以降の支援策の一助とするため、航空機の電動化、無人航空機業界の第一人者である東京大学名誉教授の鈴木真二先生にご講演いただきました。

コロナ前の航空産業は、旅客需要の成長に伴い、これを支える旅客機需要も右肩上がりに伸びる予想であったが、2019年(コロナ前)と同等の需要回復には少なくとも今後5年間はかかるとのこと。2大航空メーカーである、米ボーイング社と英エアバス社は減産や人員削減を余儀なくされており、国内機体メーカー各社も事業計画やサプライチェーンの見直し、さらには人員整理・再配置を行っている。

足元の需要が薄く、動向も不透明な中ではあるが、米ボーイングと英エアバス両社は次世代機に向けた動きとして、機体の軽量化やエネルギー効率の向上を目的としたバイオ燃料100%の商用機や水素燃料で飛行する旅客機の開発に着手している。国内においても菅総理が「2050年カーボンニュートラル宣言」の方針を掲げ、グリーン化へ寄与するための開発は加速する可能性が高い。

小型無人航空機(ドローン)の需要予測はFAA(米国連邦航空局)によると、2016年時点で110万台ほどだったものが、2021年には350万台にまで拡大し、それに伴ってドローンオペレーター(操縦士)の需要や、産業利用も促進される見込みである。ドローンは農薬散布、高所や閉所でのメンテナンス、短距離間の荷物運搬等私たちの生活にも身近になりつつあるが、技術的課題が山積するとともに、利活用の方法についてはまだブルーオーシャンであるため、国内外、民需、防需問わずチャンスがある。

無人航空機は、米ウーバーテクノロジーズをはじめとする多くの企業が、次世代の主導権をにぎるため日夜しのぎを削っている中、国内においても「空飛ぶクルマ」という呼称で開発競争が激化しており、経産省主導の元「空の移動革命に向けた官民協議会」が設立され、日本として取り組んでいくべき技術開発や制度整備等について協議も行われている。

鈴木真二先生のご講演は航空業界全体の動向について、非常に分かり易く、かつ要所事重要なポイントをご提示いただき参加者にとって大変貴重な機会になったことと思います。

また機会があればより深いお話を各項目ごとにお聞きしたいと思います。